消化器、つまり食道から胃、小腸、大腸などの消化管と肝臓や膵臓、胆嚢などの疾患の診療を担当しています。
吐き気、食欲不振、腹痛、吐血、便秘、下痢、血便、黄疸などのある時、あるいは健康診断で胃のバリウムの異常や便潜血などを指摘され、消化器関連の精密検査を指示された時受診して下さい。
また症状が無くても、病気が隠れていることも多くありますので、定期検査やがん健診なども、お気軽にご相談下さい。
消化管内視鏡(胃カメラ、大腸カメラ)、超音波検査、CT、MRIなどは、外来にて行えます。そのほかピロリ菌の検査や除菌、肝炎検査や治療なども当院で行っています。
上部消化管内視鏡検査
上部消化管とは食道・胃・十二指腸を指し、口または鼻から内視鏡を挿入し、これらの部位を観察します。昔から「胃カメラ」と言われてきたものです。
当院では通常の経口内視鏡のほか、経鼻内視鏡も導入しており、患者さんの苦痛も軽減されています。
その1:胃カメラを鼻から挿入して検査を行います。
内視鏡が細い(外径約5mmで下図の鉛筆より細いです)ので鼻から挿入することができます。
その2:吐き気が少ない検査です。
口から内視鏡を入れる場合は、多少なりとも咽頭反射(「オエッ」となる)が起こります。鼻から入れる場合は内視鏡が舌の根元に触れないので、ほとんど吐き気をもよおすことなく検査を受けることができます。
その3:検査中に話ができます。
口から内視鏡を入れると、口がふさがってしまうために検査中は話ができません。しかし、鼻から入れる場合は口を自由に動かせますので、会話ができます。気になったことをその場で確認できるので、安心して検査を受けられます。
その4:体にやさしい検査です。
口から挿入するよりも苦痛が少ないので、内視鏡挿入の為の麻酔が少量ですみ、体の負担が少なく安全です。
下部消化管内視鏡検査
大腸を観察するために肛門から内視鏡を挿入し、大腸に発生したポリープや癌、炎症などを診断します。組織の一部をとって調べたり(生検)、病変を内視鏡的に切除(ポリペクトミー)することもできます。
大腸ポリープを切除する場合は、ポリープの大きさや数にもよりますが、原則一泊入院して経過観察します。
慢性肝炎
B型C型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)などがあげられます。
これらの肝炎の治療は当院でも受けられますのでぜひご相談ください。
C型肝炎は飲み薬で治る時代です
以前に慢性C型肝炎と診断され、インターフェロン治療が必要と言われたけれど仕事が忙しい、あるいは副作用が心配だからと躊躇してしまっている方はいらっしゃいませんか?C型肝炎は放置すれば確実に肝硬変へ進展し、肝硬変に近づくほど肝癌が発生しやすい病気です。
最近、インターフェロン注射を使わない内服薬による治療(インターフェロンフリー治療)によりC型肝炎の治療
績は限りなく100%に近くなっています。
現在複数選択できる薬剤はいずれも非常に高価ですが、保険は適用できますし、また医療費助成の申請をすれば月1万円(または2万円)で治療を受けられます。
従来のインターフェロン治療は副作用として初期にインフルエンザ様症状(発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛・倦怠感など)が高い確率で出現したり、ペグインターフェロンでも血液成分(白血球、赤血球、血小板)に対する副作用が強くでたりしましたが、インターフェロンフリー治療は上記のような副作用はありません。しかしながら、肝障害を起こす可能性があるため、定期的に肝機能をチェックする必要があります。
現在の肝炎の状態や合併症により必ずしもこの治療が受けられるとは限りませんが、一度受診されてみてはいかがでしょうか。
N A S H(ナッシュ)とは?
非アルコール性脂肪性肝炎という疾患です。
NASHとは生活習慣病の一つで、最近注目されている肝臓の病気です。最近、健診などで肥満と軽度の肝機能障害を伴い、エコー検査で脂肪肝を指摘される人が増えています。脂肪肝はこれまで良性の病気と考えられてきました。ところが、飲酒が原因でない脂肪肝の一部に、肝実質に壊死・炎症・線維化が起こり、中には肝硬変、肝細胞癌にまで進展する例も報告されています。
このように飲酒歴がないにもかかわらず組織がアルコール性肝障害に類似した所見を認め、ウイルス性肝炎などの他の肝疾患を除外したものをNASHといいます。我が国でも食事の欧米化や車社会による肥満や運動不足によりNASHの患者数が増え、200万人ほどと推定されます。 アルコール摂取が一日瓶ビール1本あるいは日本酒1合以下で、肥満のある人は要注意です。脂肪肝の20%がNASHになり、そのうち20%が肝硬変まで進行するといわれています。エコーやCTで脂肪肝があり血液検査で肝機能障害がみられた場合、NASHが強く疑われます。
治療は、まずは食事療法、運動療法が第一で、現体重-7%の減量を目指します。これに加えビタミンEなどの抗酸化薬やウルソなどの肝庇護薬、基礎疾患のある場合にはそれらの治療薬なども投与します。現在治験中の薬剤もありますが薬物療法としてはいまだ確立された治療はありません。
私ども旭川医大病態代謝内科学講座の研究グループではアンギオテンシンII受容体拮抗薬(降圧薬の一つ)がNASHの線維化(肝硬変への進展)を抑制したという報告もしてきました。
肥満傾向で肝機能障害を指摘されたことのある方は是非ご相談ください。